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局面を切り取る連載その3:得点を奪う

局面を切り取る連載その3:得点を奪う

 河童戦術:39ft:
局面を切り取る連載その3:得点を奪う

39ft:
『局面を切り取る連載その2:相手陣地でのビルドアップ』の続きです。今回は「スイッチを入れる」からの「得点を奪う」について。ただゴールというのは本当に数多くのパターンがあり理由があり状況があるので難しいのですが、今回取り上げている柏レイソル対アビスパ福岡で生まれた得点について説明してみます。




基本的にゴールというものにはそこに到るまでの原因というのがあります。そして大なり小なり守備側のミスというのも関わります。ちなみに1つのミスで失点まで繋がるということはほとんどありません。メッシとかそういうのは別にして。基本的には2つ3つとミスが重なって起きたときにゴールというのは生まれやすいと思っています。





まずレイソルの先制点から。前回からお話に出てるんですけどこの日のアビスパの守備ではレイソル最終ラインの両サイドがフリーになることが多いです。





よってこの最終ライン両サイドから危険なパスが思い通りに出せる状況。もうこのボールに対してプレッシャーが全然かからないというところがひとつのミスですね。もしくは2列目ももっと下がってコンパクトにするか。どっちかにしたほうがいいと思われます。ここではFW陣の動きに合わせて相手最終ラインにロングボールを蹴ります。





競り合いの場面。アビスパの最終ラインと2列目のラインの間隔が広がって危険な位置でレイソルの選手がフリーになっていますね。これまで自陣からでも繋いで繋いでボールを運んでいたレイソルがいきなり中盤をすっ飛ばしてロングボールを蹴ったことでこぼれ球(セカンドボール)への対応が遅れアビスパ守備陣は後手に回りました。





はい。バイタルエリアで前を向いてもたれた状態。「死ぬよ?」ってやつです。ここでアビスパ守備陣はシュートコースに入って失点しないようにするわけですが。





結局シュートまで持ち込まれるわけですが結果論で言えば局面の人数は5:3でアビスパのほうが人数多いんですけどね。ワンタッチでどんどんパスを回されて状況についていけなくなっていました。





シュートはGKの右側(ニアサイド)へ飛んでいきます。このときGKからは左側でフリーになっているレイソルの選手も視界に入っています。よってGKの左サイドにパスをだされたときのことも頭にあったはずなので意表をつかれた格好となりました。


では次のレイソルの得点を。1-2とレイソルが負けてる状況で後半40分に決まったゴールです。これは後ほど連載で(たぶん)やる予定の「ビルドアップの阻止」でも登場するかもしれない場面です。





やはりこのゴールもミスから生まれてますね。以前やった自陣でのビルドアップでも書きましたが、ここで奪われると自分たちのゴールはすぐそこですからね。即失点のリスクは常にあるわけです。





柏レイソルの守備というのは必ずと言っていいほどボールを持っている選手に対してプレッシャーをかけています。これが無いと始まらないですからね。





これがいわゆる数的同数ってやつです。最終ライン4枚に対して4枚でプレッシャーをかけにいってます。これだと逆サイドも空いてないですし、選択肢としてはGKに下げるか間を通してパスを繋ぐか相手陣地へクリアすることで陣地を回復して守備陣形を整えるか。かわすってのはちょっと危険ですね。ただもちろんこのプレッシャーをかいくぐれば中盤にスペースがあります。もし中盤にもスペースが無いってことは最終ラインとGKの間に大きなスペースがあるってことです。





アビスパから考えたら1点リードしている状況で残り時間もわずか。それなら相手陣地にロングボールを蹴って守備陣形を整えるというのが最善の策だったように感じます。しかしここで空いてる選手へ縦パスを通そうとしました。





この縦パスが狙われ一瞬でピンチに。これは「ポジティブトランジション」で書くかもしれませんが、ここで奪ったということが「スイッチが入った」となります。何度か出てきた「死ぬよ?」という状況ですね。ひとつのパスミスで一気に大ピンチ。








アビスパのCBは体の向きを入れ替えているあいだに少しだけ遅れましたね。それで最後にシュートまでもちこまれました。まあオリヴェイラのナイスゴールです。アビスパにとってはあの縦パスですよね。チームの戦い方としてあの判断はどうだったのか。あの瞬間、無理に間を通さずクリアもしくはGKに下げるという安全策でしっかり守りきろうという判断をしていたら結果は変わっていたかもしれません。それでは最後の得点を。





この後半終了間際に決まったゴールには「背景」があります。それがわかるようになるとさらにサッカーが楽しくなるかもしれません。







そうですサイドに張ってた輪湖です。彼は前半開始からずっと「右サイドの伊東が1対1の状況になったらゴール前に上がる」ということを繰り返していましたね。前回の記事でサイドにポジションを取り続けることで仲間を助けているということを書いたのですが、この場面ではサイドからゴール前へ侵入し得点を決めました。







ここで右サイドで1対1の状況がつくれると判断した輪湖はサイドからゴール前へ侵入していきます。







そしてゴールの場面。もうこの時点で勝負は決まっています。大外から侵入してきた輪湖は相手の前にポジションを取れていますね。右からのクロスに対して輪湖は相手DFの右側にいます。この走りこみ方がうまくいったことが得点へ繋がりました。そして最終ラインの後ろとGKの間へ送られたボールを決めて柏レイソルは逆転勝ちすることになりました。


このようにゴールには「背景」が必ずと言っていいほどあります。なぜこの得点は決まったのか。守備側のミスなのか。ミスが2つ3つと連鎖したのか。それとも攻撃陣の仕掛けだったのか。その仕掛けはいつから狙っていたのか。などなど。もちろん攻撃側の仕掛けが試合中に得点に繋がらないということはたくさんありますし、守備側がミスをしてもゴールにならないこともたくさんあります。

それでもこの「スイッチが入る」から「ゴールを奪う」という流れがわかるようになると、よく解説者の方が急に「お!これはチャンスですよ!」と話す理由がわかるようになるかも。サッカーでは90分のなかでいろいろなことがピッチ上で起きています。その思惑を感じ取れるとさらにサッカーが楽しくなるかもしれませんね。

今回の『局面を切り取る連載その3:得点を奪う』はここまでです。次回は『局面を切り取る連載その4:ネガティブトランジション』を予定しています。

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